2006.10.01 Sunday
ほのぼのあったか味・かどっこ

う「『かどっこ』ですか。それってもしかして・・・・・・」
別「ああ、あそこです」
う「やっぱり! 路地の角に店がある(笑)」
店内は10席ほどのカウンターのみ。非常にシンプルな造りのこぢんまりした店で、おだやかな風貌の大将が迎えてくれる。
う「なんでしょうか、初めて来たというのにこのリラックス感は」
別「和みのオーラがありますよね。大将の人柄からですかね?」
メニューを見ると『讃岐うどん(300円)』、『湯だめうどん(350円)』などと、大阪の一般店の相場からすると100円ずつくらい安い。
値段までリラックス価格である。
別「丸亀の『凡蔵』は全国にたくさん系列店というか暖簾分けの店があるんですが、その中でも『かどっこ』さんはメニューが本家にかなり近いですね」
大将「特別なことはせずに、なるべく基本に忠実に『凡蔵』の味を守ろうと思ってやってるんです」
値段も本当はもっと『凡蔵』価格に近づけたかったそうだが、残念ながら無理だったらしい。そりゃそうでしょう、今でも十分安いです。

別府さんのアドバイスに従って『ぶっかけうどん(350円)』と、『釜揚げうどん(400円)』を注文する。
う「おお!? ぶっかけにカニかまが乗って出てきましたよ! ちょっと不思議な見た目やなぁ」
別「おや、こんなところまで忠実でしたか」
う「はい?」
大将「『凡蔵』では『醤油うどん(350円)』にはちくわ天、『ぶっかけうどん(350円)』にはカニかまを乗せて出すんです。別にどちらでもいいんですが、うちはそのまま継承してやってます」
う「ああ、そうやったんですか。しかしちくわ天はいいとしても、なぜゆえカニかま・・・・・・?」
別「彩りじゃないですかね」
大将「赤いものがないですから」
う「なるほど、赤ピーマンよりはカニかまの方が絶対合いますしね(笑)」
別「他に赤いものといえば、ニンジン、トマト、いちご、りんご・・・・・・う〜ん」
う「だんだん、トッピングにはカニかま以外ありえないような気がしてきた」
そういえば『志のん』は醤油にもぶっかけにもデフォルトでちくわ天が乗って出てくる。『志のん』の大将は「自分がちくわが好きやから」と言っていたが、ひそかに本家の流れを汲んでいたのだ。

うどんの奥深さはこういうところでわかる。同じ作り方と大将は言うが、食べた印象は『志のん』とかなり違うのだ。
系統的には同じなのだろうが、『かどっこ』のうどんは、『志のん』よりさらに田舎麺タイプのホッとする味なのである。
店のオーラから勝手に想像していたうどんの味そのものと言ってもいいかもしれない。
別「浦谷さんが想像していた味そのもの、と言われてもねぇ」
う「ひとりよがりなコメントですんませんな」
別「でも確かに大将の麺は、ちょっと懐かしさを感じるうれしい麺ですね。そのうえ釜揚げがとてもイケる」
う「店と大将の人柄とうどんの味が、見事にトータルコーディネートされておるのです」